言葉

私に取って大抵の言葉は誰が言ったかではない。そんなことはもう覚えてない。

でも自分の芯に釘を打ちつけた言葉は忘れない。日本一になった時、「君は勝てない選手だと思った。」そう言われた。ああ、私もそう思った。そう思われていた。ここで、満足すればたった一度の勝利では勝てる選手だと思われない。勝てる選手と思われたいのではない。勝てない選手だと思われるのは癪なのだ。

ただで転けるほど、私は弱くない。あるいは、弱くあってはならない。ただ、ひとことそのことで私の闘志に再び火をつけてくれた。むしろ感謝せねばならない。これでまた強くなれる。ただ、許さない。

人はただ柄のない鋭利な刃物を持っている。それを鞘にしまって誰も切らなければ誰も自分も傷つかない。ただ血が吹き出ながらでも、刀を強く握り締め思いっきり振り回す。そうしなければ孤高の頂点には立てない。丸くなってはならないというのはそういうことではないか。